惻隠の国 [雑 感]

横綱 朝青龍は いろいろの不祥事を起こして土俵を去った。

横綱としての品格にもっとも触れると思えたのは、彼の粗暴な言動でも仮病でもない。

勝った後のガッツポーズ、そして相手を土俵の外に押し出してから更に一突きを加え土俵の下に転げ落とすダメ押しだった。

相撲において、相手の足が土俵の外に出た瞬間に力をゆるめ、落ちぬよう配慮したり、投げ飛ばされた相手に手を貸すことは伝統の礼である。

これはレスリングやボクシングをはじめ世界の恐らくどんな格闘技に も見られない日本独自のものだ。

朝青龍はこの惻隠という日本精神をついに理解できなかった。

惻隠、すなわち弱者敗者への涙は武士道の仁や仏教の慈悲にも通づる日本精神の精華である。

朝青龍が惻隠を理解できないのは仕方ないですませるが、これを持たない日本人がグローバリズムの進展とともに近年激増しているのは真に憂うべきことだ。

混迷の人類を救う鍵ともなりうる惻隠、


この美風を世界に伝えていくという使命を負う日本人が、その前に世界の悪風に染まってしまいそうだ。藤原正彦 著


激動の平成であったが、戦争は無かった。令和も人類を救う鍵ともなりうる「惻隠」を胸に世界の平和を祈ります。





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